ザイン・エドさん

下のアンビリバボーに登場するザイン・エドさんを取材したノンフィクションを
読みましたのでその感想を。



重度の強迫性障害を患い「時間を巻き戻す」という儀式行為と、死へと向かう時間の流れに恐怖を感じる強迫的な考えから逃れられないでいる主人公。献身的な精神科医の治療や家族のサポートに触れて自分にとって一番大切なものは何かを問い直し、強い意志でもってみずから行動療法を進め回復していく姿を描くノンフィクション。


こういう精神的な疾患というのは脳の器質的な問題、もっと脳の「物質」としてのケミカルな部分が作用するものだと自分としては考えているが、心の深い部分にまで根を生やしその患者を支配している囚われた思考に光を当て、それを一度解体して再構成していく営みも絶対的に必要となってくるのかもしれないと感じた。


もちろんそれには自分自身の中の抑圧されている無意識までも掘り下げて、それと真正面から向き合う冷静さとそれを乗り越える強さが伴わなければならないのだが。


こちらの本のライターの方の息子さんも強迫性障害の患者であり、その経験にも根付いた丁寧な取材と優しさを持つ視線によって良質なルポに仕上がっている。